カテゴリ:業界ニュース / 投稿日付:2025/09/26 08:49
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施行日から2年を経過した「宅地造成及び特定盛土等規制法」について
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2023年5月に施行された「宅地造成及び特定盛土等規制法」は、2年間の経過措置を終え、一部の地域を除き全国で本格運用が開始されました。危険な盛土等を全国一律で規制する本法は、もはや一部地域の課題ではありません。すべての不動産取引において、適切な調査と重要事項説明が不可欠です。
1.なぜ今、盛土規制法なのか? ─ 他人事ではない全国一律の規制へ ─
2021年7月に静岡県熱海市で発生した大規模な土石流災害は、危険な盛土等が引き起こす甚大な被害を浮き彫りにしました。この災害を契機に、従来の「宅地造成等規制法」(以下、旧法)が抜本的に見直され、新たに「宅地造成及び特定盛土等規制法」(以下、盛土規制法)が制定されました。
旧法では、指定された「宅地造成工事規制区域」が全国の国土の約10%にとどまり、規制のないエリアが多く存在するなど、安全上の課題を抱えていました。そこで盛土規制法では、これらの課題を克服するため、国の基本方針に基づき、都道府県が全国の土地を隙間なく規制区域に指定しました。具体的には、市街地や集落とその周辺など、盛土等が行われれば人家等に危害を及ぼすおそれが特に大きい区域を「宅地造成等工事規制区域」(盛土規制法10条)に、それ以外の区域を原則として「特定盛土等規制区域」(同法26条)として指定することになりました。これにより、日本全国の土地が、原則としていずれかの規制区域に含まれることになりました。
これまで規制のなかった地域も例外なく、新たな規制が適用されます。不動産取引の現場においては、対象物件が「どちらの」規制区域に該当するのかを調査し、買主へ正確に説明することが、これまで以上に重要になったといえます。

2. ここが変わった!盛土規制法の重要ポイント
盛土規制法は、旧法から規制対象の考え方が大きく変わりました。実務に関する主な変更点を図表1に整理しました。
盛土規制法は旧法と比べて行為制限の対象が拡大されただけでなく、申請手続きの追加や許可後の検査・報告制度まで新設された点にも注意してください。つまり、宅地分譲など開発を業とする不動産会社の方は、旧法と比べて工期や費用負担が増える点に気をつける必要があります。仲介も同様に、もし買主が宅地造成や盛土等を予定している場合は、旧法より負担が増える点を告げてあげましょう。
この表にあげた以外に最も重要な変更点は、規制区域が全国を隙間なくカバーしたことです。「自分のエリアは関係ない」という考えはもはや通用しません。すべての取引物件において、盛土規制法に基づく区域の確認と相手方への説明が必須業務となりました。
3.規制区域の確認
取引対象物件が「宅地造成等工事規制区域」と「特定盛土等規制区域」のどちらに該当するのかを特定することは、必須の初動調査となります。調査漏れや誤認は、深刻なトラブルに発展しかねませんので、調査は確実に行いましょう。
各都道府県や市区町村は、盛土規制法に基づく規制区域図(マップ)をウェブサイトで公表しており、全国ほぼ一律にどちらかの規制区域に指定されているため、自治体のウェブサイトで盛土規制法の「規制区域図」を確認する方法も考えられますが、不明な点は必ず行政の担当窓口に問い合わせてください。特に、区域の境界線上にあるなど、ウェブサイトだけでは判断に迷う場合もあり、そのようなときは必ず都道府県や市区町村の担当部署に直接問い合わせることが必要です。電話だけでなく、物件の地図を持参して窓口で直接確認することが、最も確実な方法です。
また、盛土規制法に限った話ではありませんが、法令制限は必ず指定権者・許認可権者の担当部署で確認することが大切です。盛土規制法は都道府県のほか指定都市と中核市が許認可権者です。また、権限が委譲されている市や区もありますので、事前に電話等で問い合わせておくとよいでしょう。

4.重要事項説明書の記載方法と注意点
規制区域を確認したら、当然のことながら宅地建物取引業法第35条に基づき重要事項として買主に説明する必要があります。原則として全国の土地はいずれかの区域に指定されているため、重要事項説明においては「どちらの区域に該当するか」を明記することが基本です。
盛土規制法への移行後、重要事項説明書での記載漏れが多数見受けられます。その原因として、本規制が重要事項説明書の法令制限一覧表の中に埋もれてしまい、見落とされがちであることがあげられます。繰り返しになりますが、宅地建物として取引する物件は原則として必ずどちらかの区域に指定されていますので、記載漏れのないよう気をつけましょう(図表2)。

また重要事項説明書には、盛土規制法45条1項の「造成宅地防災区域」の欄もあります。これまで解説した規制区域は、宅地建物取引業法施行令3条1項27号に基づく説明事項で、造成宅地防災区域内外の説明は、宅地建物取引業法施行規則16条の4の3に基づく説明事項です。このように根拠条文が異なっているため、全宅連の重要事項説明書では別の項目欄を設けています(図表3)。
盛土規制法10条の宅地造成等工事規制区域内と同法26条の特定盛土等規制区域については図表2、同法45条1項の「造成宅地防災区域」内にあるときは、図表3の欄で説明しますので、間違えないよう気をつけてください。

5.届出・許可が必要となる工事とは?
重要事項説明では、単に「宅地造成等工事規制区域です」、または「特定盛土等規制区域です」と告げるだけでは不十分です。買主から「具体的にどんな工事に許可や届出が必要なのか」と質問されるケースも想定されます。図表4に規制区域における行為制限と手続きをまとめていますので、許可や届出対象となる工事を把握しておきましょう。
図表4はあくまで法の定める基準であり、都道府県等の条例によって、より厳しい基準が上乗せされている場合があります。必ず取引物件の所在する自治体の基準を確認するようにしてください。
6.基礎調査について
盛土規制法の規制区域は今回で完結したわけではありません。おおむね5年に1度基礎調査が行われます(盛土規制法4条)。特定盛土等規制区域に指定されていたエリアが、宅地分譲などにより人口が増加したり、都市計画が変更されたりして、宅地造成等工事規制区域に変更されることも考えられます。基礎調査の結果は必ず公表されますので、不動産取引をする際は、定期的に確認しておきましょう。
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本日は以上となります。
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次回もどうぞお楽しみに!

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