カテゴリ:業界ニュース / 投稿日付:2026/06/26 08:53
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上昇するマンション賃料
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昨今、マンションの賃料が大きく上昇しています。2026年3月23日に、アットホームと三井住友トラスト基礎研究所が公表した、賃貸マンションの成約事例に基づく「マンション賃料インデックス(2025年第4四半期)」からその実情をみてみましょう。
全体的に賃料は上昇傾向にある
まずマンション賃料インデックスについて説明しておくと、これはアットホーム㈱と㈱三井住友トラスト基礎研究所が共同で開発した賃料インデックスで、アットホームが蓄積しているマンションの成約事例に基づいて作成しており、成約賃料をヘドニックアプローチという統計的手法で品質調整し、四半期ごとの指数を算出したものをアットホームラボ㈱が編集協力しアットホームより公表しているものです。
この成約した賃貸マンションの賃料の前年同期比を見ると、首都圏と地方の主要大都市は2~6%の上昇となりました(図表1)。その中身を詳細に見ていくと、全体の賃料が上昇していることに加え、以下の3つの傾向があることに気づきます。

①ファミリータイプの賃料上昇が顕著であること
②大阪市・福岡市等も大きく上昇していること
③賃料上昇が大都市圏の周辺地域にまで広がっていること
①について補足すると、マンション賃料インデックスは、都市別に加えてシングルタイプ(18㎡以上30㎡未満)~ファミリータイプ(60㎡以上100㎡未満)というように、タイプ別でも算出されているのですが、このうちファミリータイプの賃料上昇が、シングルタイプやコンパクトタイプに比べて顕著でした(図表2)。理由は供給制約です。
賃貸マンションの場合、そもそもファミリータイプは物件数そのものが少ないという傾向があります。賃貸で出される物件の多くは、分譲マンションを買って、それを貸し出すケースですが、分譲マンションの価格が大きく上昇したため、買い控えが生じており、それがファミリータイプの賃料を押し上げました。
次に②の大阪市・福岡市等も大きく上昇していることについてですが、これに共通していえるのは、両者とも人口流入が堅調である半面、マンションの供給がまったく追いついておらず、それが賃料を押し上げているということです。大阪市は、調査時点の昨年10月には大阪万博は幕を閉じていますが、万博の影響で観光客が増えており、なかにはホテルではなく賃貸マンションで長期滞在をする外国人もいて、マンション不足が顕在化しました。また福岡市は、そもそも街のエリアが小規模であることから、賃貸マンションの物件数そのものが少ないため、賃料の上昇を加速させた面があります。
③の周辺地域への影響ですが、たとえば東京エリアで見ると、東京23区の前年同期比が16.18%の上昇であるのに対し、横浜市や川崎市が11.17%の上昇と、東京23区に近いほどの上昇を見せました。いうまでもなく、東京23区の賃料上昇が著しいため、少しでもコストを抑えようとして、周辺地域の賃貸マンションを狙う人が増えたからと考えられます。

手取り賃金の4割が賃料の限界といわれる
こうした動向から今後の賃料動向を推察すると、おそらく簡単に下がることにはならないと見ています。
まず需給で考えると、今後もしばらくマンションの供給不足は続くでしょう。その理由は2つあり、1つ目は建築費の高騰です。材料費や人件費が上昇しており、その傾向は当面続くと見ています。2つ目は適地不足です。特に東京23区内においては、新しいマンションを建設したくてもできないという状況にあります。この2つの供給制約要因はそう簡単に解消するとは思えず、需要に応じた賃貸マンション供給は、きわめて困難です。
それに加えて、一般的に家賃は「賃料の粘着性」が高いといわれていて、なかなか引き上げられにくく、借り主に有利という面がありましたが、東京23区内の賃貸マンションに関しては、それを防ぐために「定期借家契約」(前号の「住」のトレンドウォッチング①でくわしく解説しています)を結ぶケースが多く見られるようになったことがあります。
一般的に賃貸物件は普通借家契約が多く、賃料を引き上げる場合は貸主、借主双方の合意が必要ですが、定期借家契約の場合は、契約期間が終わると、再度新しい条件で契約を結ぶ必要があるため、賃料についても変更しやすい利点があります。
また、諸物価高騰の折、普通借家契約の物件でも貸主が強気に賃料を引き上げる動きがすでに始まっています。今まで賃料引き上げに躊躇していた貸主のマインドが、「賃料は引き上げられるものだ」というように変わりつつあるということです。
とはいえ、もちろんどんどん上がるというわけではありません。あまりにも賃料が上がり過ぎてしまうと、借りられる人がいなくなってしまいます。今年1月の実質賃金は13カ月ぶりにプラスへと転じていますが、賃料は手取り賃金の4割を超えると限界といわれており、東京23区内のファミリータイプの賃料が月30万円だとすると、手取り賃金は月75万円の給与でちょうど4割となります。手取り75万円を超える給与を手にする世帯はそれほど多くないでしょうから、それを考えると、賃料の平均がどこまでも上がるということはないのではないかと考えられます。
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本日は以上となります。
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